ハイテクノロジー推進研究所

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マルチメディア推進フォーラム PART970【オンライン限定】
「デジタルセラピューティクスの現状と展望」

メール申込用フォーマット PDFファイル(FAX申込書付き)
開催日2025年3月5日(水) 13時00分~16時35分
場所オンライン限定
受講料53,100円 (消費税込)

趣旨・論点

●デジタルセラピューティクスの背景・現状
●デジタルセラピューティクスに関する課題
●ICT活用の重要性

 デジタルセラピューティクス(DTx)とは、医師の管理下で患者自身が使用する治療目的のプログラムであり、デジタル技術を用いた疾病の治療等の医療行為を支援または実施するソフトウェア等(デジタルの治療薬)のことである。DTxを含め、デジタル技術を活用して診断や治療をサポートするソフトウェアは、SaMD(サムディー:Software as a Medical Device)と呼ばれ、2014年の薬事法改正(薬事法から薬機法(※1)に呼称変更)に伴い、アプリ・ソフトウェア単体でも薬事承認・保険適用の対象となった。日本国内では、2020年にCureApp社のニコチン依存症治療アプリ、2022年に高血圧治療補助アプリ、2023年にサスメド社の不眠症医用アプリ、の3件がDTx製品として薬事承認を受け、前者2件が保険適用を受けている。
 グローバルにおけるSaMDの市場規模予測は、CAGR22%(2020~2027年)と見込まれており(2027年には865億ドル)、今後市場規模の拡大が期待されている。特に欧米は多様な適応疾患で開発が進み、アンメットメディカルニーズ(飲む薬だと解決できないニーズ、痛みを伴うもの~解決策そのものが無いもの)にこたえる治療選択肢として技術開発が進展している。一方で、日本は米国に対し約10年遅れていると言われており、日本のDTx製品の承認数は3件と欧米に比して大幅に少ない状況である(DTx承認・申請件数、 米国27件(2022年調査※2))。この状況を打破すべく、国内では侵襲性の低いSaMDに対し、二段階承認※3など早期市場投入のための規制緩和の動きが加速している(厚労省 DASH for SaMDの促進戦略を公表)。
 これまでの診断・治療においては、患者の特性や状況など、個々人に応じた対応が困難であった。診療外での患者の状況の把握が困難であり、適切な治療方針の決定が困難であるケースもあった。結果として医療従事者の負担や医療コストがかかるという状況がある。これらの課題の解決策として、ICTの利活用が期待されている。

※1 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 ※2 脳神経系(うつ病、不眠症、認知症など)、糖尿病、高血圧、など。 ※3 例として、うつ病の場合、一部症状である不眠だけでも効果に蓋然性があると判断されれば1段階目で承認される。それにより臨床データ取得など研究開発の促進にもつながる。

市場規模の拡大が期待されている一方、市場浸透にはいくつかの課題があると言われている。患者視点、医療従事者視点、製薬企業視点、で整理すると、
 患者視点では、DTxに関する質の高いサービスが分かりにくく、納得感が不足している点があげられる。多種多様な健康系アプリも存在しており、自身の抱える疾患にDTxが役立つことが認知されていない。また保険3割負担でも価格は高い印象である(自己負担月額数千円ほど。高血圧アプリ2000円/月)。単に薬を飲むとは異なり、一定期間使い続ける必要がある(認知行動療法など)。
 医療従事者視点では、DTxによって医療従事者の雇用が失われるとの懸念が残存しているのも否めない。現状維持バイアスやITリテラシーの不足、等により、医療従事者の中でも普及が進まないのも実情である。
 また製薬企業視点ではDTxでの明確な保険償還モデルが見通せず、事業性評価が困難な課題がある。規制改革の状況にも依存し、コストに見合う保険点数がとれるか予見性の観点が課題となっている。加えて、(DTxは新たな治療法のため)より多くのクリニカルエビデンス(臨床でのエビデンス)の創出、製品周知のコマーシャル活動、が求められるのも障壁要素となっている。
 医療・ヘルスケアのDX化の文脈において、DTxならではの価値(DTxが提供し得る価値)は、デジタルヘルスの業界団体である日本デジタルヘルス・アライアンス(JaDHA)において以下のようにまとめられている。
   一点目は患者に個別化された継続的かつ効果的な介入による治療効果の向上である。ICTを活用することで患者の状態に応じた適切な介入を診療の間においても継続的に受けることができる、結果としてその患者でのアウトカム向上が期待できる。
 また患者情報の取得・把握が容易であるセンシング・ウェアラブル機器・情報を活用することにより、自宅等、診療外における患者情報の把握が可能になる。オンライン診療においても患者価値を向上させ、懸念されるリスク(対面診療と比べて質が落ちる)を低減することが可能である。
 また医療従事者においても、医師の負担軽減の期待がある。DTxによる介入により、医師負担を最小限にしたうえで特にアドヒアランス(「患者が治療方針の決定に賛同し積極的に治療を受ける」、インフォームド・コンセントよりも強い同意意思)や食事・認知行動等の治療効果を高めることができる。
 また医療経済的効果においても期待されている。従来の薬物療法にDTxを併用して使用する患者は、従来の薬物療法のみの患者に比して毎月の治療費を削減できる可能性があるという研究結果が出ている(薬をきちんと飲むようになる、診療外における患者情報の把握が可能になる、等により治癒までにかかる時間やコストを削減できる可能性)。

趣旨:  本フォーラムでは、医療・ヘルスケアのDX化に関する課題解決に関して、ICTを活用した治療(デジタルセラピューティクス)の最新の業界動向、将来展望等について議論する。医療・ヘルスケアの領域でこれまでどのような政策をどういったマイルストーンで進められているか、その最前線で活動されている第一線の方々にその動向を概説していただくとともに、デジタルセラピューティクスに関わる技術の進展等を踏まえ、各企業の取り組み事例などをご紹介いただく。

(座長-総合司会)
東京大学  名誉教授  齊 藤 忠 夫

スケジュール

各講演最後に質疑応答を設けてあります。

(基調講演)「デジタルセラピューティクスへの期待」
東京大学 名誉教授
齊 藤 忠 夫 氏

「デジタルセラピューティクスに関する行政の取組み」
経済産業省
商務・サービスグループ 医療・福祉機器産業室
室長補佐
雪 田 嘉 穂 氏

「デジタルセラピューティクスに関する産業界の取組み」
日本デジタルヘルス・アライアンス  事務局長
株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門
部長・プリンシパル
南 雲 俊 一 郎 氏

(休憩)

「DTx開発でのアカデミアの役割~産官学連携の経験からの教訓~」
兵庫医科大学
精神科神経科学講座
助教
向 井 馨 一 郎 氏

「SHIONOGIにおけるデジタルセラピューティクスの取り組みについて」
塩野義製薬株式会社
新規事業推進部長
阪 口  岳 氏

「通信事業者におけるデジタルセラピューティクスの取組みについて」
KDDI総合研究所
シンクタンク部門
シニアエキスパート
本 庄  勝 氏

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