ハイテクノロジー推進研究所

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マルチメディア推進フォーラム PART958【オンライン限定】
「ブルーカーボンへの取り組みの現状と展望」

メール申込用フォーマット PDFファイル(FAX申込書付き)
開催日2024年9月18日(水) 13時00分~16時50分
場所オンライン限定
受講料52,300円 (消費税込)

趣旨・論点

●ブルーカーボンの背景・現状
●ブルーカーボンに関する課題
●ICT活用の重要性・重点課題

1.ブルーカーボンの背景・現状
気候変動が社会課題として認知され、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラルの推進が世界的に注目されており、日本政府は2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言している。またG7札幌において、2025年までに世界全体排出量のピークアウトのコミットを締約国に呼びかけるなど、世界全体でカーボンニュートラルを達成するよう推進している。この実現するためには、エネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取組を加速する必要がある。CO₂排出量を削減するゼロ・エミッションだけではなく、大気中に蓄積している温室効果ガスを回収・除去するネガティブ・エミッションへの取り組みも重要となる。ネガティブ・エミッション技術としては、例えばCO₂を固着して蓄積するDAC(Direct Air Capture)、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)やCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)などがあり、また最近では自然環境を活用するブルーカーボンが1つの手段として注目されている。 ブルーカーボン生態系が生息する浅海域の面積は海洋全体の面積の0.2%程度だが、浅海域が吸収するCO₂の量は海洋全体の吸収量の42%にも達する。ブルーカーボン生態系のCO₂吸収能力の高さを示しているといえる。
2019年のCOP25国連の会議において、温暖化対策の有効な選択肢としてこのブルーカーボン生態系への取り組みを進めていくことが提唱され、2023年12月のCOP28(ドバイ)では、ブルーカーボン生態系を増やす取り組みを紹介する日本政府主催のセミナーが開かれるなど、ブルーカーボン生態系は優れたCO₂吸収源として、脱炭素実現を目指す現代社会において注目を集めている。

2.ブルーカーボンに関する課題
グリーンカーボンと比較してブルーカーボンはその研究も応用も途上段階である。ブルーカーボンが優れたCO₂吸収源であることが認識されたのは10年ほど前であり、ブルーカーボン生態系によるCO₂吸収量や分布、その他について正確なデータが不足している。マングローブ林については多くの研究や保全活動があるが、海草藻場の生態に関する研究はこれからの領域である。また、人間のどのような活動がブルーカーボン生態系に影響を及ぼし、どれだけの炭素を排出するのかを算定していく必要がある。特に海草藻場に人間活動が及ぼす影響については、解明できていない点も多い。また、ブルーカーボンの主な貯留場所は地下であるが、地下に貯留されたブルーカーボンについての詳細は、現在のところ限定的である。ブルーカーボンに関する研究の推進およびデータの蓄積を加速するためには、ICT技術の投入が必要である。ブルーカーボンによるCO₂吸収のポテンシャルを見ると、カーボンニュートラルの達成に向けて急ぎ検討していく必要がある。
ブルーカーボンの解明を進める上で求められる主要な課題として以下の2点が挙げられる。特に(1)の課題については、ICT技術を活用することで、CO₂吸収量の算出に必要な手間の削減や精度の点で向上できる可能性がある。
(1)ブルーカーボン生態系におけるCO₂吸収量の正確な評価(クレジットの算出) ブルーカーボン生態系によるCO₂の吸収量を評価することが重要であり、現在多様な算出手段が存在する。一方で、コストや時間の制約により、正確な評価をすることが難しい。
(2)撹乱によって生じたCO₂の評価(CO₂の放出に関する議論) 海洋生態系に蓄積された炭素は様々な撹乱によりCO₂の発生源となりえるものの、その評価が困難であるという課題がある。撹乱は人為的な要因だけでなく、周辺環境の温度や酸素含有量、養分量などといった自然環境によって生じる要因も存在する。人間の生活や温暖化など、ブルーカーボン生態系に変化をもたらす可能性がある。

3.ICT活用の重要性・重点課題
ブルーカーボン量の評価を行うにあたり、ブルーカーボン生態系が蓄積するCO₂の測定技術が重要となる。Jブルークレジットを統括するJBEによるブルーカーボン申請の手引きでは、藻場のCO₂吸収量の算定方法として、「CO₂吸収量」=「藻場面積等」×「吸収係数」で定義されている。藻場の測定手段が課題であり、測定結果の正確性も評価の対象となるため、いかに詳細なデータで厳密に算出できたかといった結果の信頼性が、申請可能なブルーカーボン量に影響を与える。現状、測定範囲は狭いが詳細な調査(人手をかける)や、広範囲な粗い調査(衛星写真)などの手法があるが、低コスト化や効率化のためのロボットやドローンの導入や、正確性向上のためのデータ解析AIを導入するなど、測定データの信頼性向上のためのICT技術が重要な役割を果たす。

趣旨:
本フォーラムでは、サステナブルな社会実現に向けた重要な施策の1つであるブルーカーボンの位置づけや重要性を共有し、CO₂の蓄積量の算出とそのメカニズムの解明などブルーカーボンに関する課題解決に向けて、ICT活用により効率化・低コスト化・データの精緻化などの実現可能性について議論する。これまでどのような施策をどういったマイルストーンで進められているか、その最前線で活動されている第一線の方々にその動向を概説していただくとともに、今後のブルーカーボンに関わる技術の進展を踏まえ、取り組み事例などをご紹介いただく。

(座長-総合司会)
東京大学  名誉教授  齊 藤 忠 夫

スケジュール

各講演最後に質疑応答を設けてあります。

(基調講演)「ブルーカーボンを取り巻く環境とICT活用への期待」
東京大学 名誉教授
齊 藤 忠 夫 氏

「ブルーカーボンの取り組みと展望」
ジャパンブルーエコノミー技術研究組合
理事長
桑 江 朝 比 呂 氏

「実際の藻場を対象としたセンシング、ブルーカーボン量の分析」
鳥羽商船高等専門学校
教授
江 崎 修 央 氏

(休憩)

<企業の取り組みパート①>
「ドローンを活用したブルーカーボン測定の取組みについて」
KDDI総合研究所
執行役員
服 部  元 氏

<企業の取り組みパート②>
「鳥取ブルーカーボンプロジェクトについて」
農林中金総合研究所
研究員

梶 間 周 一 郎 氏
岡 添 巨 一 氏

<企業の取り組みパート③>
「ブルーカーボン活用の社会実装に向けた取組」
●衛星画像・データを活用した技術や水中モニタリング技術等を活用した取組
●水産養殖系のスタートアップが目指す、ブルーカーボン活用の社会実装の取組

ウミトロン株式会社
事業開発マネージャー
浅 野 由 佳 理 氏

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