マルチメディア推進フォーラム PART881【オンライン限定】
「究極のセキュリティ『量子暗号』と『耐量子計算機暗号』その最新動向」
~各国が覇を競う量子コンピューター時代の暗号通信~
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開催日 | 2022年3月31日(木) 13時00分~16時55分 |
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場所 | オンライン限定 |
受講料 | 53,100円 (消費税込) |
趣旨・論点
● 量子コンピューターの登場による既存暗号の危殆化と次世代暗号への期待●「量子暗号通信」の拓く未来
・量子暗号通信の可能性
・量子暗号通信実現のための技術と解決すべき課題
・最新の研究開発動向
● 「量子暗号通信」に関する動向
・技術と市場動向
・ユースケース
・今後の展望
・「量子技術による新産業の創出」の取り組み
● もうひとつの次世代の暗号「耐量子計算機暗号」
・NISTの標準化動向
・公開鍵を用いた耐量子計算機暗号の最新動向
●「耐量子計算機公開鍵暗号」実現に向けた各プレーヤの取り組み
新型コロナウイルス感染拡大を契機として在宅勤務・テレ××が急速に拡大する中、セキュリティの脆弱性を狙った犯罪などの被害も増えてきています。例えば、“ランサムウエアによるサイバー攻撃”では、身代金額も数千万円~数億円単位に高額化するケースも少なくないとも言われています。
現在のインターネットの仕組みでは、メッセージの傍受やハッキングを完全に遮断するのは難しく、さらに量子計算機(量子コンピューター)が実現すると一部の公開鍵暗号方式が危殆化する懸念があるなど、よりセキュアな通信手段の登場が必須となります。
情報を傍受される心配のない全く新しいタイプのインターネット「量子インターネット(量子通信)」と言う概念も提案されていますが、通信経路における中継(器)の問題などが大きく立ちはだかり、実用化まではあと半世紀はかかると言う専門家の声もあります。そこで、ここに来て注目を集めているのが「量子暗号」を始めとした次世代の暗号を利用したセキュア通信です。
そのひとつ「量子暗号通信」では、暗号化した情報の配送には現在の共通鍵暗号方式や公開鍵暗号方式のように既存の仕組みを利用する一方で、暗号鍵(量子鍵)を「光子」に載せ “別”配送することでセキュアな環境を実現します。
より詳しく言うと、量子暗号通信では、光子が持つ量子的ふるまい(分割不能性・複製不能性)を根拠に、盗聴されていないことが保証された暗号鍵を共有し、これにより情報理論的安全性を持つ暗号通信を実現するもので、量子鍵配送(QKD)とワンタイムパッド(OTP)と呼ばれる要素技術が用いられます。
量子暗号通信については、各国が覇を競うように研究開発・実用化を進めています。社会実装状況に目を向けると、中国がスピード・規模で先行し、韓国とドイツが大規模網の構築に着手しており、中国では新華社通信、中国工商銀行、国家電網公司などが利用するネットワークが2018年には構築されるなど、ユースケースも広がっていると聞きます。一方で、米国、英国、日本における取り組みは小規模・局地的となっています。
そのような中、日本では、NEC、東芝、情報通信研究機構などで研究開発が進められ、2021年度からは防衛・警察の通信網のセキュリティ対策として実証事業が始まる予定であるほか、より大きな取り組みとしてこの9月には「産業界が主体となり『量子産業の創出を目指す』Q-STAR(量子技術による新産業産出協議会)」が設立され、「量子技術イノベーション立国」の実現に向けて、材料、デバイス、計測技術、コンピュータ、通信、シミュレーションなどの技術を結集して取り組むこととしており、量子暗号通信に関する研究開発も一段と進むことが期待されています。
一方、次世代の暗号技術について、上述の量子暗号で先行する中国に対抗するように、米国国立標準技術研究所(NIST)が従来の通信の仕組みを変える必要のない次世代の公開鍵暗号の採用に向けた標準化プロセスを進めています。24年の実用化を目指すこの次世代方式については早ければ2022年始めには決定されることになっており、当初は50弱もあった候補は3年以上かけて4つに絞り込まれ、その最終候補の4つのうちの1つにNTTや米クアルコムなどのチームが開発した「NTRU」方式も取り上げられています。このNTT方式は、「量子コンピューターが苦手とすると考えられている問題」を基に暗号アルゴリズムを設計した「耐量子計算機公開鍵暗号」で、その大きな利点は専用の装置が不要で、現行方式から移行するのに障壁が少なくて済むことにあり、28年に39億ドル(約4400億円)に達する(米調査会社インサイド・クオンタム・テクノロジーの試算)と言われる、量子コンピューターでも解読が難しい暗号を使うソフトやデバイスの世界市場において、先行者利益を確保し、いち早く周辺ビジネスに拡大することも予想されています。
本講演では、量子コンピューター時代の究極のセキュリティを約束する暗号技術として、実用化フェーズに移りつつある「量子暗号通信」に関する世界的な動きや市場、標準化などへの取り組み、先進のユースケース、量子技術の前進に向けた産業界や各企業の取り組みについて調査するとともに、もうひとつの次世代暗号である耐量子計算機暗号技術としてNISTが標準化を進める「耐量子計算機公開鍵暗号技術」について明らかにすることを通じて、ICT業界の各プレーヤがこの潮流に乗り遅れずにビジネスチャンスを掴むための方策についても議論していきます。
(座長-総合司会)
東京大学 名誉教授 齊 藤 忠 夫
スケジュール
各講演最後に質疑応答を設けてあります。
- (基調講演)
「量子計算機の登場による既存暗号の危殆化と次世代暗号への期待」 - ●インターネット、セキュリティ、暗号危殆化、量子コンピュータ
- 東京大学 名誉教授
齊 藤 忠 夫 氏
- 東京大学 名誉教授
- 「量子暗号通信実現に向けた東芝と産業界の取組み」
- ●量子暗号通信実現に向けた取り組みと東芝の描く未来
●産業界が主体となり『量子産業の創出を目指す』(Q-STAR:新産業創出協議会)の取り組み
- 東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部 QKD事業推進室 シニアフェロー
Q-STAR 量子暗号・量子通信部会
村 井 信 哉 氏
- 東芝デジタルソリューションズ株式会社
(休憩)
- 「量子暗号通信に関する動向とNECの取り組み」
- ●量子暗号の技術・市場動向、ユースケースと今後の展望
●量子暗号通信実現に向けた取り組みとNECの描く未来
- NECグローバルイノベーションユニット
技術シナジ―創造本部 本部長
浅 井 繁 氏
- NECグローバルイノベーションユニット
(休憩)
- 「耐量子計算機暗号の実現に向けたNTTの研究開発」
- ●量子コンピューター時代の次世代暗号の標準化
●耐量子計算機暗号についての最新の研究開発動向
●NTTの考えるIOWN時代のセキュアなコミュニケーション
- NTT社会情報研究所
主任研究員
草 川 恵 太 氏
- NTT社会情報研究所